今回は信用についての話。
評価経済は信用がなによりも重視される経済様式です。
じゃあその根本の信用とはなんなん?を突き詰めます。
信用の定義と構成要素
そもそも人間は他人を信用できないので、契約と貨幣を発達させ、それらを信用の代わりにして経済を発展させてきました。
信用は英語でクレジット。クレジットカードの機能も胴元の会社が『この人は信用できる』と判断してカードを付与し、信用と契約で物の売買を行っている事になります。
評価経済では貨幣経済とは違って、影響力や貨幣経済の「信用情報」ではない信用が重要視されます。
AIやロボットが働く社会になっても人間の仕事は無くならないって話
評価経済の表出としてはクラウドファンディングがありますね。機能としては信用を貨幣に変換すること。
クラウドファンディングにおける信用は、プロジェクト自体の信用とクラウドファンディングを募る人間自体の信用です。
募る人間の信用次第では、無駄遣いしたいからお金くださいみたいなプロジェクトも通る可能性があります。
信用の源泉は何なのか
人間の信用とは一体なんなのかをはじめに定義します。
見た目も、ファッションも、話す事も、経歴もその人物を構成する全てを記号として捉えてください。
人物を構成する記号の中には自分で動かす事が容易な動的な記号と自分で動かすことの難しい静的な記号があります。
人によって何が重視されるのかは変わりますが信用は動的な記号、静的な記号の2つから生まれています。
動的な記号は出会う瞬間によって変わる記号。ハッタリをかますのが簡単です。
顔は整形できるしメイクもあります。ファッションは誰かに選んでもらえば良い。話の内容も事前準備で何とか出来ます。
静的な記号はドコドコ大学を卒業、MBA取得、コンサルタントを営み、コメンテーターとして活躍みたいなやつ。
貨幣経済で活用される信用の構成要素のうち、静的な記号は、学歴、勤めている会社、資格、返済履歴などです。
しかし、これらは初めて出会った『その場』や、調べる為に膨大なコストがかかるものもあるため、こちらもいつかバレるとしてもその場でならハッタリをかます事が出来ます。
だから貨幣経済では信用の活用は行わず、手っ取り早い信用の代替物の貨幣を使い、貨幣の出入り情報と一部の静的な記号の混じった物である「信用情報」を使っているわけです。
なぜ評価経済へ移行しつつあるのか
ネットの発達によって信用の構成要素のうち重要視されるものが変化したため、貨幣経済から評価経済への移行が始まっています。
今まで静的な記号を自分で生み出したり、変化させるには、膨大なコストをかけるか、特殊な職業に就く必要がありました。画家、小説家などがわかりやすいでしょうか。
ピカソは買い物をするときに小切手をよく使ったそうです。小切手は交換されなければ金銭になりません。
ピカソの小切手を飾っておく人が多ければ多いほど、ピカソは信用で買い物ができたわけです。
では、ピカソの信用の源泉は何でしょうか?
ピカソの人となりももちろんですが、主な信用の構成要素はピカソの生み出す絵そのものですよね。
小説家であれば本、コラムニストであれば残してきた思考そのもの。このような『活動の履歴』が信用を生み出しています。
それでは、現代に戻ります。ツイッターを想像してください。絵を描いている人は?小説を書いている人は?意見を発信している人は?もうプロだけではありませんよね。
その道のプロでなくても発信の機会は平等に与えられています。やるかやらないかそれだけ。
これからの時代を担う信用の根源のうち『活動の履歴』は自分で生み出す事が容易なものになりました。自身の行動自体が信用を生み出すとも言えます。
さかのぼれる活動の履歴が信用の3つ目の構成要素として進化し、力を持ち始めたのが評価経済の始まりです。
信用を生み出す発信とは
信用は発信によって作り出せるようになったと前述しましたが、作り出された信用がプラスに働くか、マイナスに働くかは行動次第です。
『活動の履歴』としてアカウントに思考の変化や言動のブレ、視点の鋭さ、全ての物事が記録されます。
今までは小説家やコラムニストなどの一部のエリートにのみ『活動の履歴』の提示は許されていましたが、現代ではネットの発達により、全ての人間に『活動の履歴』の提示ができるようになりました。
その結果生まれたのが炎上なんじゃないでしょうか。バンドのWANIMA、俳優の夏目雄大氏が過去のツイートを掘り起こされた結果、炎上しました。
炎上は『活動の履歴』への無関心が引き起こした事に他なりません。自分の発信する事はネットを使う以上全て記録され履歴として辿る事ができます。
ビットコインの根幹技術のブロックチェーンも履歴をお互いに持ち合う事で辿り改竄されていないか検証できる事が信用の源泉。
これからの評価経済では、発信し、残してきた履歴自体が信用を構成する最重要要素になります。
評価されるポイントが増えたにも関わらず、無関心で居続ける事は炎上を生み出し、人の役に立つ事を発信すれば、信用が高まる。とても単純な世の中になりましたね。
最後に
- 信用はその人物の全てによって成り立っている
- 信用の構成要素のうち多くの人に重要視されるものが変化した
- 良い『活動の履歴』を残す事で信用が高まる
という話を長々としました。
評価経済になれば貨幣経済よりも単純で楽しい世の中になると思います。アマゾンの件でも話しましたが、現物の貨幣がなくなるにつれ評価経済的な傾向は強くなるでしょう。
生活を支える事全てが正しく評価され、感謝されるようになれば、こちらのルートでも政府はなくなるかも知れませんね。
活動の履歴を発信する事がこれからの時代、重要になります。発信する事のハードルを下げる事、特に音楽系でというのが、このブログのテーマになりますので、良かったら他の記事も見ていってください。
という事で雑記でした。