こんにちは谷下です。
今回はStudio71_1_2という団体からYouTube liveのアーカイブ動画に対して著作権侵害の申し立て&その動画をブロックされたので対処した件について。
ブロックされた動画はポケモンソードシールドのアーカイブ2件とレインボーシックスシージのアーカイブ2件でした。
時系列順に起こった事をまとめます。
YouTubeから[著作権侵害の申し立て] 動画はブロックされましたというメールが届く
1通目のメールが届いたのは2020年1月7日20時12分。
申し立て内容は著作権で保護されたコンテンツ: Pokemon 13、申立人: Studio71_1_2でした。
理由は著作権で保護されたコンテンツが動画に含まれている可能性があります。著作権所有者は自分のコンテンツが含まれている YouTube 動画をブロックすることができます。とのこと。
私は配信に
- ゲームのプレイシーン以外にbgm等は使用しておらず、配信画面上にはディスコードで一緒にプレイしているプレイヤーのアイコン、名前、スポンサーのロゴしか載せていない
- ポケモンはソロでプレイしていたためディスコードで一緒にプレイしているプレイヤーのアイコンが引っかかったわけではない
- bgm等は使用していない
ので、著作権侵害の可能性があるならゲームメーカーである任天堂、UBIソフトからの申し立て以外にありえないはずです。
著作権侵害の申し立てを放置するとどうなる?
YouTubeの規約によると
著作権侵害の警告を 1 回受けても、初回であれば事前警告として取り扱われます。著作権侵害の警告を初めて受けた場合は、コピーライトスクールを受講する必要があります。コピーライトスクールでは、著作権とは何か、そして YouTube ではどのように著作権が保護されているかについて学べます。
警告を複数回受けると収益化に影響を及ぼすおそれがあります。また、ライブ配信が著作権侵害により削除された場合は、ライブ配信の利用が 90 日間制限されます。
著作権侵害の警告を 3 回受けた場合:
アカウントと関連付けられているチャンネルがすべて停止されます。
アカウントにアップロードされたすべての動画が削除されます。
新しいチャンネルを作成することはできません。
https://support.google.com/youtube/answer/2814000?p=c_strike_basics&hl=ja
要するに、動画が即ブロックされたのに異議申し立ても動画の削除もせずに放置すると一度目は面倒な動画を見ないといけなくなり、三回目でアカウントが削除されるとの事。
ゲーム実況やゲーム配信の著作権、YouTubeの規約はどうなっている?
YouTubeの著作権規約に引っかからないものとしてフェアユースというものがあります。
フェアユースとは、一定の条件を満たしていれば、著作権所有者から許可を得なくても、著作物を再利用できることを示した法原理です。
中略
ソースコンテンツに新しい意味を持たせるような作品は、フェアユースと見なすことができる場合があります。
https://www.youtube.com/intl/ja/about/copyright/fair-use/#yt-copyright-myths
また、同じページにあるガイドラインにはフェアユースの4つの要素もまとめてあります。
1. 利用の目的と特性(その利用が、商用か非営利の教育目的かなど)
裁判所では通常、その利用が「変形的」であるかどうか、つまり、新しい表現や意味がオリジナルのコンテンツに追加されているかどうか、あるいはオリジナルのコンテンツのコピーにすぎないかどうかという点を重視します。営利目的での利用の場合はフェアユースと見なされる可能性が低くなりますが、動画から収益を受け取ってもフェアユースによる保護を受けることが可能なことがあります。
2. 著作物の性質
主に事実に基づく作品のコンテンツを利用する方が、完全なフィクション作品を利用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなります。
3. 著作権で保護されているその作品全体に対する利用部分の比率
オリジナルの作品から引用するコンテンツがごく一部である場合は、コンテンツの大半を引用する場合に比べフェアユースであると認められる可能性が高くなります。ただし、ごく一部の利用であっても、それが作品の「本質的」な部分である場合は、フェアユースではないと判断される場合があります。
4. 著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響
オリジナルの作品から受けることができる利益を損ねるような利用は、フェアユースであると認められる可能性は低くなります。この要素に基づき、裁判所がパロディをフェアユースと認めることもあります。
https://www.youtube.com/intl/ja/about/copyright/fair-use/#yt-copyright-myths
ゲーム配信、ゲーム実況の特性上、フェアユースの要件を満たすか否かは1. 利用の目的と特性の要素が大きく関わってきます。
1. 利用の目的と特性の内容をまとめると、
- 丸パクリはNG
- オリジナリティを出してほしい
の2点。
ゲーム内ムービーのみを流す事などはフェアユースの要件を満たすか怪しく、ゲームというコンテンツを使っているが、メインコンテンツは実況であったり、ゲームのプレイであればフェアユースとも取れるというグレーなラインという事。
そうなると次に確認すべきは各ゲーム会社のスタンスや規約という事になります。
UBIソフト、任天堂のゲーム配信規約は?
YouTubeのフェアユースのラインとしてはグレーになるため、著作権侵害の異議申し立てを行うにしても自分の配信アーカイブが各ゲームソフト会社の規約違反でないかの確認が必要。
万が一Studio71_1_2がUBIソフトもしくは任天堂の代理人である可能性を考えて、ゲーム配信をする上での規約を調べてきました。
UBIソフトはゲーム配信に関して
ユービーアイソフト株式会社は下記のポリシーに基づき、ゲームのストリーミング配信を許可しています。
要点抜粋:
◯コンテンツを個別に(画像、音楽、アイテムなど)切り出して使用しないでください。
◯弊社からの許可無く発売前のタイトル内容を公開しないでください。
◯配信するものはご自身の創作物とし、既存の映像の配信はしないでください。
◯配信するコンテンツの権利について十分確認してください。
第三者が権利を持つ音楽、弊社が権利を保有していないコンテンツに関しては、別途、許諾を得ていただく必要があります。
◯他者を傷つけるような表現はしないでください。
ポリシーはURLの英語版が優先され、通知無しに変更される可能性があります。
ポリシーに反したり、弊社が不快と感じる配信物は、配信の停止を求める措置を取らせて頂きます。
https://ubisoft-support.jp/general/general-16/
と規約を定めているため、配信のアーカイブが規約に引っかかっておらず、YouTubeが著作権侵害ではないとしているフェアユースにあたると考えて良いでしょう。
任天堂は
個人であるお客様は、任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画等を、営利を目的としない場合に限り、投稿することができます。ただし、別途指定するシステムによるときは、投稿を収益化することができます。
お客様は、正式な発売日またはサービス開始日を迎えた任天堂のゲーム著作物を、投稿に利用することができます。正式な発売日またはサービス開始日を迎えていないものに関しては、任天堂が公式に公開した任天堂のゲーム著作物のみを投稿に利用することができます。
投稿に任天堂以外の第三者が有する知的財産権が利用されている場合、このガイドラインとは別に、その知的財産権の権利者から許諾を得る必要があります。
任天堂は、Nintendo Switchのキャプチャーボタン等の機能を利用する場合を除いて、お客様ご自身の創作性やコメントが含まれた動画や静止画が投稿されることを期待しております。お客様の創作性やコメントが含まれない投稿や任天堂のゲーム著作物のコピーに過ぎない投稿はご遠慮ください。
お客様が事実に反して、任天堂や任天堂の関係者から、協賛や提携を受けているようなことを示唆したり、誤信させたりしないでください。
任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています。
https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html
とのこと。
私は収益化していないので任天堂の側も同様です。
異議申し立てにあたって使用される個人情報は?
異議申し立てするにあたって一番気になるのが、自分の個人情報目当ての著作権侵害報告ではないのか?という点。
YouTubeの「著作権侵害の申し立て」への一度目の異議申し立てには自身の名前の署名が必要になり、相手方がそれを確認した上で著作権侵害であると差し戻した場合、住所等の個人情報を入力した上で異議申し立てをすることになります。
これらを調べるにあたって、うさこの洋裁工房さまのyoutubeから間違った著作権侵害の申し立てが来たから何とかする話を参考にさせていただきました。
うさこの洋裁工房さまの異議申し立てが拒否された!の項に実際の個人情報入力画面があるのですが、一度目で受理されなければ復活した申し立てとして、
- 氏名
- メールアドレス
- 電話番号
- 市区町村
- 郵便番号
- 国
の入力を求められます。
一度目の段階でYouTube側が持っているすべての個人情報が送られているか否かはわかりませんが、調べた内容から読み取れるYouTubeのスタンスとしては「お互いに話し合ってケリを付けてね」です。
おそらく二度目の申し立て=裁判の準備になるため、個人情報は二度目の申し立て画面を入力し、送信した時点で確実に相手方に伝わると思って良いでしょう。
また、今回のStudio71_1_2の件ではツイッター等でハンドルネームでも問題なく異議申し立てが通ったと報告が見受けられるため、一度目は実名でなくても問題無いようです。
一度目の異議申し立て時に個人情報が送られている可能性は低いが、規約上どこまで個人情報が開示されるかわからないため、相手が個人情報を狙って悪用する団体ではないか調べてみる必要があるというのが現時点での対応になりました。
Studio71_1_2は何者?
こちらがStudio71_1_2さんのアカウント。
そしてツイート内容は、虚偽の申し立てがあったなら異議申し立てしてくれればすぐに解除するよと言っています。
どうやらドイツを拠点にしたマルチプラットフォームネットワークがStudio71_1_2の実態らしく、日本でいうUUUMのような組織の模様。
彼らのYouTubeアカウントの動画を見てみると3、4年前の投稿にはなりますが、マネジメントしているっぽい人物の紹介動画等もあり、個人情報を抜き取る事が目的の組織ではなさそうです。
YouTubeから[著作権侵害の申し立て] 申し立ての撤回というメールが届く
1通目のメールが届いてから立て続けに4本分のアーカイブをブロックされたわけですが、2020年1月8日0時41分にシージのアーカイブの申し立ての撤回のメールが届きました。
残りの動画についても8日の22時に確認したところ申し立てが撤回されていたため、皮肉なことに「対応のために勉強していたら何も対応する事なく」問題が解決しました。
最後に
今回は色々な所で同時多発的に著作権侵害の申し立てが発生したため、異議申し立てをしていなくても取り下げられましたが、今後個人情報目当ての異議申し立てがあるかもしれないため調べた内容を共有します。
YouTubeの著作権侵害は三度引っかかるとアカウントが削除されるというかなり厳しいモノ。
海外では著作権侵害の申請を出すと脅し金銭を要求したり、著作権侵害の申し立てで裁判のために共有される仕組みを使い個人情報の抜き取った後に家への押しかけたりした事例もあります。
異議申し立てについては慎重に行わなければいけないので、今後もYouTubeの著作権周りのシステムについて勉強しておきます。
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